催眠商法から大事な人を守るために有益な本

この記事は、司法書士から見た『あやしい催眠商法 だましの全手口』(ロバート熊)の書評です。

著者はもともと催眠商法をしていた会社で働いていた人で、内部の事情に詳しい人物。催眠商法の手の内を明かしてくれる、かなり珍しい本です。

MEMO
催眠商法とは、心理テクニックをつかって購買意欲を煽り高額商品を買わせる悪徳商法の一つ。無料で日用品などを配って客を釣るので餌づけ商法とも呼ばれたり、また参加者の気分を高揚させるため日用品などを配る時に希望者に「はい」「はい」と大声で挙手させることからハイハイ商法とも呼ばれる。

様々なテクニックを駆使することから、ある意味最強の営業本といえるかもしれません。

催眠商法は、自然食品の店や健康セミナーを掲げる場所に日用品の無料配布会で老人を集めて、商品を買わせるものです。ここまではわりとよく知られていることかもしれません。

詳しすぎる手口の開示

ただ、その手口は巧妙で、客を集めた当日すぐには買わせないというのがこの本で知ったことでした。詐欺師にありがちな、ぱっと現れてぱっと消えるイメージを私は思っていたのですがそうではないようです。なんと数ヶ月のスパンで契約させるということですからなかなか計画的です。

そう。数ヶ月も掛けて信頼関係を作って買わせるので、被害者が被害にあっているとすら感じさせないおそろしい悪徳商法なのです。

この本には、どのような心理テクニックや詭弁が用いられているのかかなり詳細に語られていて、悪い人は催眠商法のマニュアルにするのではないかと思うくらいです。

被害を避けるための最善手とは

肝心の被害に合わないために紹介されている最善の方法は、近寄らないこと!

これについては私も大賛成です。近寄らない。これが一番です。

催眠商法にあえて近づく人の中には、無料商品だけもらって帰ろうとおもう人もいるかもしれません。悪いやつを懲らしめる感じでそうする人もいるかもしれませんが、その悪い奴らの原資(元手)は被害者のお金なのです。催眠商法の会場に行くこと自体が雰囲気作りに一役買い、結局悪い奴らを助けることになるのです。ですから、被害者にならないためにも、そして加害者をアシストしないためにも、近寄らないことが大事なのです。

被害にあっている人を見分けるサイン

手口がわかっていると、被害にあっている人の家の特徴もつかめてきます。

本の中では、具体例として過大に多い健康食品のストックなどがあげられています。

前述の通り、催眠商法は被害者が被害を受けていると感じにくいものですので、外部からの観察が大事になります。そして被害にあっても、クーリングオフを使えば被害を最小限に抑えられます。

その他思ったこと

この本で他によいと思ったところは、クーリングオフができることをただ書くのではなく、ちゃんと書面の例や送り先(会社とクレジット会社)と具体的に書かれている点です。もちろん法律に詳しい人(弁護士や司法書士)に頼れるひとがいいのですが、多くの人はそんな暇もお金も掛けたくないでしょう。ですからこういう本でサクッと対処できるのはとても素晴らしいと思いました。

年寄りの心の寂しさが悪徳商法による被害の端緒になっていると思うと、家族とのコミュニケーションというものの大事さが身にしみます。